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唐突に始まり唐突に終わるシェレム。捏造しかない。
適当なあらすじ
光が氾濫を起こした第一世界で、シェゾは深い傷を負ってしまった。
レムレスは何とか助けようとするが、光に包まれた世界では傷を癒す力がとても弱まっていて――
適当なあらすじ
光が氾濫を起こした第一世界で、シェゾは深い傷を負ってしまった。
レムレスは何とか助けようとするが、光に包まれた世界では傷を癒す力がとても弱まっていて――
「ねえ、僕も、堕ちようか?」
浅い息に返ってきたのは、そんな言葉。
ただただ光に溢れる世界で深い傷を負った。絶対絶命、そんな事はわかっている。紫に光る眩い大地に、赤い血が滴り落ちる。
確かに、レムレスの魔力が光のものでなく、闇のものであれば変換する手間暇さえいらずに状況を覆す事もできる。この程度の光の蝕みなど苦にもならないだろう。
けれど、小さく首を横に振った。
「いいや、いらない。この程度、何とかしてみせる」
レムレスは元は闇の魔道師の家系だ。そこから光の道を選んだ彼は、闇から光へと転化される際にとてつもない苦痛を味わったことだろう。そのくらい容易にわかる。
相反する属性の変換というものは、なまじ簡単にできるものでないのだ。そんなこと、この世界を見ればわかるだろう。延々と降り注ぐ光は、夜空すらも奪ってしまった。
「で、でも。ここじゃ何処にいても、君が傷つくばかりだよ」
じく、と傷から血が流れる。レムレスは必死に癒やしの魔法をかけながら、涙ながらに訴える。あまりこの体には効かなくても、それでも手を止めない。
「ああ、それにな」
レムレスの抗議を無視して、言葉で打ち消す。
「俺はお前の輝いているところが好きなんだ。きらっきらで眩しくて、正直、真っ直ぐみてられん時もある。けどな、その光でないと、ダメなんだ」
その光に救われた。闇の先には何もないと思っていた自分に、確かなものを示してくれた。
「知っているか、レムレス。光は陰がないと、存在すらできないんだ。陰も同じだ、光がないと存在できない」
そう、共依存だ。初めは闇ばかりで良いと思っていた。光も炎も水も緑も、何もいらない。闇さえあれば世界は存在する。あるいは全てを飲み込めると、そう思っていた。
それでは駄目なのだと、気づくまでは。
光の中では光が見えないように、闇の中には闇が存在しないのだ。見ることも感じることも触ることも掴むことすらできない。闇を知らぬ者は光も然り。人々は闇を恐れこそするが、それが無きものであることは決して望まない。光も同様だ。
「俺はずっとずっと、光を探していた。そして、やっと見つけたんだ。俺だけの光を。こんなただ溢れているような光じゃない。ただ一筋、尾を引いて輝く光だ」
闇の魔道師にのこのこ近付くような不用意な光の魔道師なんかいない。そう思っていたシェゾの前に現れたのがレムレスだった。光の中に己という闇を見出した時「光とは奪うもの」だと思っていたシェゾの意識を根底から覆した。
正しくそれは、光だった。結局のところ調和を求めていたのだ。それこそ光と闇の必然だったのかもしれない。闇から翻った光は、それはそれは綺麗に見えた。
「だから堕ちてくるなんて言わないでくれ。気持ちはありがたく受け取る。だが、お前という光は俺が守りきる。例え今は小さくて弱い彗星だとしても、お前が、お前だけが俺の光だ」
それが暗く染まる事を望んではいない。この光にだけ包まれた世界であっても、己の求める光はここにしかないのだ。レムレスが頷いて、涙を飲み込むのが分かる。
こんな所でくたばってたまるか。やっと手に入れた物を、誰にも渡さない。足の先から指先、頭の天辺の髪一本でさえ許さない。そう、心をどす黒く染める。
暗闇の根幹から願う。ああ、闇よ、闇よ、闇よ。空に闇の帳を。海に漆黒の恐怖を。地に這う炭のような深黒を。これしきの光、染められなくて何が闇の魔術師か。
「シェゾ、無理しないで」
「いいから、黙って見てろ」
剣から出る蝕むような闇が、木の葉を緑に染め、薄暗い黒を連れ戻す。例え一時でも、光に満ちた空気を転化させる。そうなるとレムレスの治癒力も一気に取り戻す。塞がっていく傷を見て、ようやく一息ついた。
「どうだ、これでわかっただろ。っとわ!!!」
「シェゾ……良かった! 血が止まったよ!!!」
傷を治していた腕が、杖を投げ捨てて抱きついてくる。傷は癒えども流れた血は戻らないので目が回るのだが。今回は多めに見てやろうと好きにさせることにした。照れくさいが、顔が見られる事もない。だから、ふるえる背中を優しく撫でた。
「俺は闇を呼ぶ魔術師、だからな……」
「うん、君ならきっと、こんな世界も変えられるよ」
それは、嫉妬という憎悪の力でもあるのだが、あえて伏せておく。きっと口に出せば、そんな心配は無いと笑われてしまうかもしれないが、何もない光の世界で闇を生み出す方法を他に思いつかなかったのだ。
「でも、僕はいつだって君の為なら闇に堕ちることができるよ。どうか、それを忘れないで。君がいなくなれば、僕はきっと光に呑まれてしまうから」
光が氾濫を起こした世界があると、知ったのは偶然だった。別に知っただけで、行くつもりもなく、そのまま消滅してしまっても何ら困りはしない。行ったとしてもどうしようもないとすら思った。闇の力がどれほど強大でも、光が氾濫した世界を救えるはずもなし、傲慢だとすら思った。
だが、望まれぬ光があることが辛く悲しいだろう。求められることのない力は、ただそれだけで忌み嫌われる。
だから、この世界に来ると決めた時、告げた言葉は本音だった。光として求められない世界が、彼にとってどれほど過酷かも理解した上で、言ったのだ。
「なぁ、レムレス。幸せになってくれなんて嘘だ、不幸でもいいから傍にいてくれ」
己の傍にいれば幸せなんて程遠い生活になるだろう。それでも尚、純粋に欲しいと願う。それを聞き届けた光の魔術師は、輝くような笑顔で言祝いだ。
「いいよ、一緒に行くよ。光が人を傷つけてしまう世界なんて、そんなの……悲しすぎるもの。それにね、君がいるなら、例えどれほど辛くても、僕は不幸なんかじゃないんだよ」
FF14には第一世界という『光の氾濫でほぼ壊滅している世界』があるんですが
そこにいったらシェゾ英雄になれるじゃん!という気がして……
あと当時に闇落ちレムレスが流行ってた気がして、私も書いてみたという話。
どの話でも根本(ウチのシェゾはレムレスの属性からして好き)は変わらないんですよね。
第一世界で初めて降り立つ風景、葉っぱが紫色してる景色なんですよ。
ずっとなんで紫なんだろ……って思ったらあれ、緑を反転させたら紫になるんですね。
それを理解した時、ちょっぴり感動した。
ソワイエ・ウルー・マンソンジュは偽フランス語で「幸せになってくれなんて嘘だ」です。
雰囲気ですよ雰囲気。それしかない。
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