小ネタぶっこみ場 綺麗で汚すぎた幸せな心魂(戦国無双3 信長×光秀) 忍者ブログ
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戦国無双3の信長EDの織田信長✕明智光秀です。
原作通りのメリーバッドエンド(と私は信じている)







 気がつけば、そこは暗闇の中だった。いや、よくよく目を凝らせば林の中で、己はそこに敷かれた石畳の上を進んでいた。

「気がついたか、光秀」

 ふと、心地よい声が響く。その声の主を確かめようと顔を向ける。

「信長さま!?」

 宙を浮いていたような意識が急に覚醒する。一体何が起こったと言うのだろう。
 薄暗い灯籠が、申し訳程度に並んでいる薄暗いその道を、己と主はただ歩いていた。
 更に正確に言うならば、己は主に手を引かれて歩いていた。

「も、申し訳ありませぬ、信長さま!」

 主に手を引かれる家臣とは、なんて情けない。そう思い、手を引っ込めようとしたが、それは叶わなかった。主に強く手を握られ、手が離れることはなかったからだ。

「あのっ」

「良いのだ」

「しかし」

「良い、もう良いのだ」

「は、はあ……」

 一体何があったというのだ。周囲に人の気配は一切ない。
 薄暗い夜の道を二人きりだった。他の家臣も、信長様を守る側近や隠密の兵も、雑兵たちも、それどころか動物の気配すら感じなかった。

「思い、出せぬか」

「え?」

「それも良い」

 主は振り返ることもなく、いつものように悠然と歩を進めて行く。

「どういう事ですか、信長さま」

 主は分かっているのに、自分には分からない。それは一つの焦りとなった。
 足を止めると、主も止まる。しかしそんな事は気にする様子もなく、信長は繋いだ手とは逆の腕で真っ直ぐに来た道の先を指差した。

 その指先を目で追うと、そこには火柱がたっていた。
 ごうごうと燃え上がる炎は荒れ狂い、天をも焦がさん勢いだ。
 煌々と燃える空を見上げながら――そう、全てを思い出した。

「ああ………そういう、事だったのですね」

 焼け崩れる本能寺で、最期に見たものは覚えていない。しかし確かに覚えている。
 崩れゆく瓦礫から守ろうと、手を伸ばした。今まで殺し合っていた相手を。意味がないこと知りつつも。
 その手は、主の手と重なっていたのだろうか。

 ゆっくりと、再び手が引かれる。引かれるままに歩き出した。

「うぬは何を泣いておる? 光秀」

 問われて初めて、己が涙していることに気がついた。

「怖いか、信長と来ることが」

「いいえ」

 そうだ、これは地獄への旅路だ。永遠に続くような、ながい時間を、罰せられて過ごすのだろう。
 だが、怖くなどなかった。

「違います。信長さま。私は嬉しいのです」

 あなたの傍にいられることが。
 しがらみは常にあった。常に目隠しをしているような気分だった。
 主を敬愛していた。己の命にかえても、お守りすると、必ずや主の天下を手に入れると心に誓っていた。だが現実は甘くはなかった。
 愛するべき者はたくさんいた。見たい景色も、見たくない景色もあった。
 その全てを秤にかけて、熟考を重ね、苦悩し、汗と涙を流し、血の涙すら流せるのではないかと悩み抜いて、本能寺へと向かった。
 守るべきもののために、心を殺した。守るべきもののために、愛する者を殺す決断をした。
 誰にでもできる所業でもなく、あの夜を逃したならば永遠に誰もなし得なかっただろう。

 そして、許されない事をした。謀反。本来なら自分が最も忌み嫌うような言葉だ。尽くしたものに反旗を翻すなど正気ではない。
 人も、主の家臣たちも、後の世も、未来永劫に己を許すことはないだろう。主に刃を向けた忠義心の欠けた男、それに成り下がるのだ。
 だがそれよりも、主に許されない方が心に堪えた。
 討たなくてはいけない。だが斬りたくない。けれど討たなければ、大切なものたちが、目の前で殺されていくことだろう。
 決心を付けたつもりで、結局のところ全くついていなかったのだろう。



「後は第六天より愉しもうではないか」

「光秀」

「はっ!」

「供を許す」

 その言葉を聞いたとき、この方に許されるならば、全てを捨てていいと、思ってしまったのだ。

「ははっ!」

 だから、膝をついてしまったのだ。
 全てを無くしたと思った時、ただ欲しかったものを与えられた。その喜びだけで、火の熱さなど忘れられるほどに。
 ここは、しがらみから解放された、地獄だった。けれども、何も恐れることなどなかった。
 こうして、隣に存在できる。悩むことなく家臣であれる。その喜びに勝るものはなかった。この魂が、地獄の業火に焼かれようとも。

「ようやくこの言葉を、本心のままにお伝えすることができるのですね」

 ずっと言いたかった。されど言うことは許されなかった。
 死してようやく、伝えることができるのだ。

「わたくし光秀は、貴方様を永遠にお慕い申しております。信長さま」

「是非もなし」

 さあ、幸福なる死の都へ、赴こうではないか。







以下、くどい語りです。

 戦国無双の光秀は無印の頃から信長の事が大好きで、主君として慕い、何らかの事情(シリーズやエピソードにより異なる)で信長を本能寺で討ち続けて来ました。
 彼が信長に謀反を起こした理由は現時点(これを書いていたのは2016頃です)では不明で、その中でも『四国説』をとりあげたのが無双3からだったと思います。
 初め見た時は「なんつーEDじゃ……」とドン引きしていた私ですが(笑)思い返すと「第六天まで供を許す」って、信長が大好きだけど一緒にいられないどころか、謀反まで起こす事になった特殊すぎる主従関係の信光にとって、最高のメリーバッドエンドなんじゃないか?と思い始めた次第です。
 何度も言いますが光秀は信長の事が好きで、臣下が主を討つという行為は生真面目で自分にも厳しい潔癖な彼の中でも相当な心の負担であったはず。

 そんな彼らの心情を描いたのが『~焔~ 武火燃ゆる』というデュエットキャラクターソングで
更に光秀の信長への心情を描いたキャラソンが『紅蓮之闇』だと思うのですが「お慕ひ申す それゆえに」という歌詞がもう禿げるほど好きで好きで……。世の中にあの信光好きな人、絶対居たよね!?という思いで、恥ずかしながらも短文をあげた次第です。

 つまり何が言いたいかというと、無双3信長EDが信光のメリバEDに見える人はお友達にな……らなくていいので握手……もしなくてもいいので、存在を教えてください。いる……よね???

……でも未だに同志には巡り会えません。
え、最高じゃないです?
全部捨ててるけど光秀が信長様のものになるんだなって思うと、最高オブ最高。
第六天がなんだ!地獄がなんだ!二人でいればそこはいつでもハピハピフラッシュイェー!!!

というのがこの話を書くきかっけでした。
ま、完成に5年以上かかってますけどね。
おかしいな、信光ぜんぜんないんだもん……もっと読みたいよ。
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