ひなさんの小説以下の小ネタを放置するところ ↑旧 ↓新
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仮タイトルに「EDパロ」と書いてあった
大昔の半端ハンアド小話のかきかけ
ここは星導協会の領地の小さな田舎村。その端にある一軒家には一人の錬金術師が住んでいた。
彼の名前はアドレット・マイア。知る者など殆どいない、かつての勇者の七人目。そんな彼は今、細々と薬や小物を作って暮らす毎日だ。
少し軋む扉を開けると、今日もそこには晴れやかな青空があった。朝露の香りのする冷えた風が、爽やかに頬を撫でる。アドレットは扉にカギがかけたのを確認すると、颯爽と出掛けた。
いつもの一日の始まりだった。一昨日焼いた固いパンをかじりながらアドレットは街を出る。
なんだかんだで薬の需要は高い。本当はただ勇者になりたいがために学んだ知識だが、おかげで日々の生活には困ることがないのはありがたかった。今日の予定もギッシリだ。
「にゃー」
家の前の木の上から、昨日と同じ猫の声がする。猫と言ってもあまりに人間くさくて、思わず笑ってしまうくらいだ。
「今日もぜんぜん似てないな。おはようハンス、ほらよ!」
木の上にいるハンスに昨日焼いた少しだけ固いパンを放り投げて寄越す。彼はにやりと笑ったままパンを受け取る。これはハンスがこの村に滞在している時はすっかりお馴染みの行動になってしまっていた。
しかしハンスはああやって餌付けしておくと、危険なところに素材を取りに行く際には稀に力を貸してくれるのだ。
「明日からちょっと北へ行ってくるだ」
「お、依頼か?」
「さあてにゃあ」
暗殺依頼を気まぐれでいつも引き受けているハンスは、たまにいなくなったりする。本当にふらりと旅に出ていることもあるが、ある時「猫って気まぐれだけど住むところは一定じゃないか?」と言ったら、意外と村に留まるようになってくれた。
「そうだ、ハンス。新作の兵糧粒があるんだ。試しに持っていけよ」
「んげっ!?」
アドレットは背負い袋を素早く下ろして、中から小さな亜麻袋を取り出すと、そちらもハンスに投げて寄越す。
「そんな顔すんなよ。代金とってないだろ」
渋々受け取って中身を見たハンスの顔は、見る見るうちに曇っていく。
「こんなので金なんて取ろうものなら、殺されるだよアドレット」
「まあ見てな、完成したら強壮剤としてバカ売れ間違いなしさ! ……まあ、まだ試作段階だ。使ったら感想聞かせてくれよ!」
「死ぬほど不味い」
「食べてから言ってくれ。あと味の感想はどうでもいいから、どういう感じに効いたかをだな……」
「おらは三食ちゃんとしたものを食べるから不要だと思うだにゃあ」
「へえ。ここに居ても腹が空くまで何も食べない面倒くさがりのお前がか?」
「旅は腹が空くものだべ」
「じゃあ問題なしだな。味はともかく体に良いものしか入れてないんだ。安心しろよ」
アドレットに悪意はない。が、体にいいからと言って全て美味しいものなわけがないのだ。案の定、口に入れたくない薬臭さが袋からは漂っている。
「あとお前に限って大丈夫だろうけど、ヘマはするなよ」
「誰に言ってるのかにゃあ、アドレット君は」
「そりゃあ俺より腕が確かなことくらいはわかってるさ。だがなハンス、お前が失敗する時は大概遊んでる時だ。気がついてるか?」
言い聞かせるようにアドレットが指を振る。
「だにゃあ。けど遊び心は猫の本質、しょうがないものなんだべ」
「俺はどうでもいいけど、尻尾に火がついても知らないからな」
「そりゃあ困るだよ」
「本気でやればそんな事態にはならないはずだろ、お前なら」
「それも楽しむのがオトナ、ってやつだべよアドレット。にゃひひ」
「はいはい。とにかく、ヤバくなったらすぐ逃げてこいよ」
じゃあな!と手を振るとアドレットは隣町へと駆けていく。そんなアドレットの背中を見ながら、投げ渡されたパンを一口噛じる。
ハンスは知っている。このパンが焼き立ててあることを。
ハンスは知っている。彼が日の経ったカチカチのパンを食べていることを。
ハンスは知っている。彼の知識や技術で作られた薬は安値で売っていいようなものではないことを。
ハンスは知っている。彼は毒を作るほうが上手いということも。
ハンスは知っている。こんな田舎の隅のあばら家じゃなくて、ちゃんとした家に住んでもいい事も。
ハンスは知っている。彼が聖堂協会に見張られていることも。
それでも今は彼は幸せそうで、あの日、あの時、魔哭領で見た傷だらけで絶望していた彼を思えば、自然と口元が緩んでしまう。なんだかんだ言って、あの男の事を気に入っているのだ。
「仕事が終わったら、また手伝ってやるかにゃぁ」
突然に始まる六花の勇者ED妄想のハンアドを発掘したので持ってきました。
今でも六花の勇者が刊行されていないことが地味にショックなんですが……
死ぬまでにミリくらいは動いてくれないかなって思ってます。
アドレットくんの錬金術師はとてもハピハピED路線なので、このままわりと平和に暮らす(アトリエシリーズみたいなどたばたはしてほしいな)設定ですが
他にもアドくんが失明して片足失って帰って来るみたいな妄想もあったりしました。
そもそも生きて帰れるのかな彼……
流石に命を落とすのは……現状かわいそすぎるので……
ハンスさんやっぱり幸せにしてあげてください。
(双方がそんな幸せを本当に求めてるかはしらん)
大昔の半端ハンアド小話のかきかけ
ここは星導協会の領地の小さな田舎村。その端にある一軒家には一人の錬金術師が住んでいた。
彼の名前はアドレット・マイア。知る者など殆どいない、かつての勇者の七人目。そんな彼は今、細々と薬や小物を作って暮らす毎日だ。
少し軋む扉を開けると、今日もそこには晴れやかな青空があった。朝露の香りのする冷えた風が、爽やかに頬を撫でる。アドレットは扉にカギがかけたのを確認すると、颯爽と出掛けた。
いつもの一日の始まりだった。一昨日焼いた固いパンをかじりながらアドレットは街を出る。
なんだかんだで薬の需要は高い。本当はただ勇者になりたいがために学んだ知識だが、おかげで日々の生活には困ることがないのはありがたかった。今日の予定もギッシリだ。
「にゃー」
家の前の木の上から、昨日と同じ猫の声がする。猫と言ってもあまりに人間くさくて、思わず笑ってしまうくらいだ。
「今日もぜんぜん似てないな。おはようハンス、ほらよ!」
木の上にいるハンスに昨日焼いた少しだけ固いパンを放り投げて寄越す。彼はにやりと笑ったままパンを受け取る。これはハンスがこの村に滞在している時はすっかりお馴染みの行動になってしまっていた。
しかしハンスはああやって餌付けしておくと、危険なところに素材を取りに行く際には稀に力を貸してくれるのだ。
「明日からちょっと北へ行ってくるだ」
「お、依頼か?」
「さあてにゃあ」
暗殺依頼を気まぐれでいつも引き受けているハンスは、たまにいなくなったりする。本当にふらりと旅に出ていることもあるが、ある時「猫って気まぐれだけど住むところは一定じゃないか?」と言ったら、意外と村に留まるようになってくれた。
「そうだ、ハンス。新作の兵糧粒があるんだ。試しに持っていけよ」
「んげっ!?」
アドレットは背負い袋を素早く下ろして、中から小さな亜麻袋を取り出すと、そちらもハンスに投げて寄越す。
「そんな顔すんなよ。代金とってないだろ」
渋々受け取って中身を見たハンスの顔は、見る見るうちに曇っていく。
「こんなので金なんて取ろうものなら、殺されるだよアドレット」
「まあ見てな、完成したら強壮剤としてバカ売れ間違いなしさ! ……まあ、まだ試作段階だ。使ったら感想聞かせてくれよ!」
「死ぬほど不味い」
「食べてから言ってくれ。あと味の感想はどうでもいいから、どういう感じに効いたかをだな……」
「おらは三食ちゃんとしたものを食べるから不要だと思うだにゃあ」
「へえ。ここに居ても腹が空くまで何も食べない面倒くさがりのお前がか?」
「旅は腹が空くものだべ」
「じゃあ問題なしだな。味はともかく体に良いものしか入れてないんだ。安心しろよ」
アドレットに悪意はない。が、体にいいからと言って全て美味しいものなわけがないのだ。案の定、口に入れたくない薬臭さが袋からは漂っている。
「あとお前に限って大丈夫だろうけど、ヘマはするなよ」
「誰に言ってるのかにゃあ、アドレット君は」
「そりゃあ俺より腕が確かなことくらいはわかってるさ。だがなハンス、お前が失敗する時は大概遊んでる時だ。気がついてるか?」
言い聞かせるようにアドレットが指を振る。
「だにゃあ。けど遊び心は猫の本質、しょうがないものなんだべ」
「俺はどうでもいいけど、尻尾に火がついても知らないからな」
「そりゃあ困るだよ」
「本気でやればそんな事態にはならないはずだろ、お前なら」
「それも楽しむのがオトナ、ってやつだべよアドレット。にゃひひ」
「はいはい。とにかく、ヤバくなったらすぐ逃げてこいよ」
じゃあな!と手を振るとアドレットは隣町へと駆けていく。そんなアドレットの背中を見ながら、投げ渡されたパンを一口噛じる。
ハンスは知っている。このパンが焼き立ててあることを。
ハンスは知っている。彼が日の経ったカチカチのパンを食べていることを。
ハンスは知っている。彼の知識や技術で作られた薬は安値で売っていいようなものではないことを。
ハンスは知っている。彼は毒を作るほうが上手いということも。
ハンスは知っている。こんな田舎の隅のあばら家じゃなくて、ちゃんとした家に住んでもいい事も。
ハンスは知っている。彼が聖堂協会に見張られていることも。
それでも今は彼は幸せそうで、あの日、あの時、魔哭領で見た傷だらけで絶望していた彼を思えば、自然と口元が緩んでしまう。なんだかんだ言って、あの男の事を気に入っているのだ。
「仕事が終わったら、また手伝ってやるかにゃぁ」
突然に始まる六花の勇者ED妄想のハンアドを発掘したので持ってきました。
今でも六花の勇者が刊行されていないことが地味にショックなんですが……
死ぬまでにミリくらいは動いてくれないかなって思ってます。
アドレットくんの錬金術師はとてもハピハピED路線なので、このままわりと平和に暮らす(アトリエシリーズみたいなどたばたはしてほしいな)設定ですが
他にもアドくんが失明して片足失って帰って来るみたいな妄想もあったりしました。
そもそも生きて帰れるのかな彼……
流石に命を落とすのは……現状かわいそすぎるので……
ハンスさんやっぱり幸せにしてあげてください。
(双方がそんな幸せを本当に求めてるかはしらん)
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