小ネタぶっこみ場 赤い視線と時計の君(リンバス ヴェルギダンテ) 忍者ブログ
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・ダンテの肌が黒いのいいよね!っていう妄想
・くっついてない
・わりと初期の頃
・ヴェルギダンテ





 コンコンとノックの音が耳に届く。荒さや苛立ちは感じられなかったが、控えめというよりかは確実に人を呼び出している強かさを感じる音だ。最近はノック一つでどのあたりの囚人が来たのか分かるようになってきた。返事をしながら席を立つと、扉を開けにいく。
 こんな夜更けに誰だろう。囚人たちも流石に寝静まるであろう時間帯だ。何かあっても訪れるにはいささか遅い気もする。よっぽどの事態も考えて起きている間は出るようにしているが、もうシャワーも浴びてしまってバスローブ姿だった。それが少し気がかりなのだ。
 流石に頭が義体に見えていても、体は普通……なら良かったのだが、汚れを落とそうと初めてシャワーに入ろうとしてそれなりに驚いたのを覚えている。己の肌は、黒かった。
 肌が黒いというよりかは、それは肌ではないのかもしれないという方が正しい。肌が黒い人種になったのではなくて、のっぺりとした不思議な材質の見た目をしている。例えるならシリコンが近いのだろうか。光を吸い込みはするものの、漆黒ではなく柔らかく光を弾いている。さらっとした手触りで無機質に感じるが、温かいし感覚はしっかりある。引っ掻いたり抓ったりすると痛いので、やはり傷をつければ血もでるのだろう。
 頭が義体になったときに、体もおそらくすべて入れ替わっていたのだろう。何故なら、この体を見て「異様である」という認識をしたからだ。
 もちろん、どうしようもないのでそのままであるが、やはり人にはあまり見られたくはない。前の記憶を有していた時もそう考えたのか、体の殆どはシャツとコートと手袋で覆われているから、そのままずっと着用している。見える人には見えているだろうし、特に何も言われた事はないが、流石に肌を晒していると気になりはする。今後は何かあってもすぐ動けるようにシャツで寝る方が良いのかもしれない。
 そんな事を考えながらドアノブを開けると、そこにはあまり想定していなかった人物がいた。
「<ヴェルギリウス……?>」
 思わずコチ、と首を傾げてしまった。てっきり囚人の誰かかと思っていたのだ。
「夜分に申し訳ないが、確認しておきたいことがあります。なに、提出の締め切りが明日午前になっていましてね。一つ二つ、話をお聞きしても?」
 仕事の話らしい。ならばしょうがないと、とりあえず動作で中に招き入れる。囚人のとった行動に関わる話のようなので、廊下に誰もいないとしても立ち話は無作法というものだろう。いや、そもそも話しても言葉が届かないのだから、他の手段を取るしかないのだけれど。
「しかし、いささか不用心が過ぎるのではないですか。ダンテ」
「<そんな事を言われても、こんな時間に人が来る事なんて殆ど無いからなぁ>」
 届かない答えを返しながら、サイドテーブルに置いてある端末に手を伸ばす。そういえば充電中なのだった、ケーブルを抜かなければ。と背を向けていたら、首筋にぞわりと悪寒が走った。
「<っ!?!>」
 ガチッと乾いた音を立てて身がすくむ。直ぐに首に触れていったものが何かは理解した。ヴェルギリウスの指だ。
「ほら、今のであなたの首と胴体は離れ離れになっていたかもしれません」
 端末のケーブルを外して向き直ると、そこには意地の悪そうな笑みを浮かべた男がいた。
「<冗談はやめてくれ!>」
 ポーッと熱の上がった何かを吐き出しながら怒る。だが、それでは伝わらない事は知っているので、端末を起動させると急いで文字を入力した。
『ここに私を害する人が入ってこられるの?』
 その文字を見ると、ふむとヴェルギリウスが真顔に戻る。
「無理でしょうね。殺めようという意味でしたなら」
『あなたが私に危害を加えるとは思っていないよ』
「そうですか。随分と気を許されたものですね」
 ぎらりとヴェルギリウスの瞳が赤く輝いた気がして、また背筋がぞくりと跳ねる。何かまずい事を言ったのだろうか。だが、何か言われる前に素早く端末に文を入力して、彼に見せた。
『用事を終わらせよう』
 用事の内容は、グレゴールの精神状態や最近の素行についての見解だ。
 枝を上手く回収できなくてそれなりに空気は荒れたが、はじめて中心となったグレゴールはかなり落ち着きを取り戻していた。
 あれだけの事があって少し驚きもしたが、そもそも彼の性格は皮肉めいてはいるが穏やかな方なのだろう。内情はかなり細かく報告したが、最近の彼については確かに触れていなかった。ヴェルギリウスの方が見えているのではないかとも思うが、自分の意見が必要であるらしく、その入力をやらされた。残業がすぎるが、隣で腕を組んだヴェルギリウスに見下されているので致し方なく、すぐに終わらせることにしたのだ。
「<終わったよ>」
 これくらいなら端末に打たなくとも雰囲気で察せるくらいには、ヴェルギリウスは目も勘もいいし悟る力が強い。
「ご苦労さまでした」
 後ろから端末に入力していたのを直接見ていたのだろう。仕事終わりを見定めたヴェルギリウスがようやく動く。後ろで見られている中、書き込むというのは神経を使うしやりにくいので、今後はできるだけ先に言っておいてほしい。前もってやるから。
「時に、ダンテ」
「<ん?>」
 まだ何かあるのかと振り向くと、首元に手が寄ってくる。あまりにも突然で、見えているのに逃げようがなかった。首に固くてごつごつした手が触れて、ぞわりと撫でる。
「<うわーー!!!!! ……何!?!!>」
 思わず悲鳴をあげてしまったのだが、忙しなく針が回る機械音だとか、ガチャガチャ拗れるような音が中から飛び出してくるだけで、やはり声は届いていない。まぁ、これで心境は理解してもらえるとありがたのだけれど。でも手は離れてくれなくて、更に下へと伸びていく。そのまま鎖骨に手のひらを這わされて、更に下へ……いやいや、ちょっと待ってそれはダメ。慌てて押し返そうとするも、逆に距離を詰められていて、逆の手で腰をすくわれている。その力強さに、軽く足が浮きそうになった。
 ぎらぎらと赤く光る目が近づく。
「これで、殺めずとも危険に陥る事はあると、理解できますか?」
「<わーっわーーっ!!! ごめんなさい! ごめんなさい!!!>」
 悲鳴や喚きはボンボンという音に置き換えられ、虚しく自分の声が部屋に木霊する。
 流石にそれで理解した。ああ、そういうこと。こんな体に興味を抱く人とかいるの!?と思っていたが、実際に恐怖を突きつけられているのだから理解もできてしまうというものだ。
「肌であって肌ではなさそうな、不思議な手触りだな」
 人の悲鳴も聞かずに、ヴェルギリウスは同じ調子で肌を撫で回している。幸いにして肩口と鎖骨までしか被害に遭っていないが、十分に甚大な精神ダメージとなっている。
「まぁ、そういう事ですよ。今後は気をつけてくださいね」
 ようやく体を開放したヴェルギリウスは、ヨレヨレになっている姿を見て気を良くしたらしく、何事もなかったかのように離れていった。目が嗤っているあたり、性格は本当に悪いと思う。
「それでは、おやすみなさい、ダンテ」
 ひらり、と彼は手を振ると、そのままドアを開けて部屋を出ていった。残されたのは腰を抜かして、一人座り込む時計がひとり。
「<な、なんだったの……今の>」
 思わず独り言が漏れる。いや、ヴェルギリウスの言いたいことは身を持って理解した。そもそも緊急時に人に会いづらいとか、出ていけない服装はやめようとは思う。
 しかし、そこでふと気がついた。
「<え? ヴェルギリウスが私を心配する必要……なくない?>」
 死なないのであれば、特に関係ないのではないかと思うのだが、その心はヴェルギリウスにしかわからないものだ。ヴェルギリウスが私を見て、少しでもその気になったのなら話は別だが。
 いや、いや、そんなことがまさかあるはずがない。あるはずがないのだ。




どこかで見かけた肌が黒いダンテに激萌えしてしまって
ずっと引きずって生きていた頃に書いたヴェルギダンテ。
それ以上でも以下でもなさすぎるけど
う~ん、肌の黒かったらいいな……
ヴェルギリウスってダンテの事すきだよね。
いつかガーネット案件にならんかなって思って見てます。

ふふ。
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