ひなさんの小説以下の小ネタを放置するところ ↑旧 ↓新
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
それは、とても暑いある日の出来事。
「あっつーい!!」
そこは仙人界、崑崙山脈、乾元山、太乙真人の住まう洞府の居間であった。夏が訪れ、ここ、仙人界でも連日うだるような猛暑が続いていた。
「あつい、あつい! なんで今日はこんな暑いの?!」
「昨日と同じセリフだな」
唸るは太乙真人。涼しい顔で相変わらずの無表情でツッコミを入れているのは弟子、ナタクである。
宝貝人間であるナタクは必要以上に暑さや寒さは感じないような作りのため、いたって普段通りに太乙からだされた修行のカリキュラムに取り組んでいた。
「だってナタク、昨日キミが言ったとおり、黒い服をやめて更に薄着にしても暑いじゃないか!」
「知ったことか」
「部屋の中までこの暑さ、研究も実験も何もあったものじゃないよ」
扇子で扇いでも生暖かい風しか来ない事に諦めを感じながらも、太乙は額に浮かんだ汗を腕で拭った。
「朝食を作って洗濯して干しただけで誉めてほしいくらいさ……今日はもう家事しない、おわり」
「俺はいいが、貴様……昼食はどうする」
「いらない、暑くて食欲も失せるよ」
「馬鹿が、また痩せても俺は知らん」
「……君に馬鹿呼ばわりされるのは屈辱だから食べようかな。 あ! 外食にしようか」
「こんな山の上で外食ができるのか?」
ナタクが腹筋しながらも息を乱さず問掛ける。
「う~ん。別名、他の仙人にたかる!」
「そんな情けないことしかできないのか?」
「だって外食とか下界に降りなければ……って。いい案だよナタク! 下まで涼みに行こうじゃないか」
「おい、修行は……」
「そんなの下でもできるだろう? ナタクが来たくないなら無理にとは言わないけど」
あまり乗り気でないナタクは、不機嫌そうにしながらも、結局頷くしかないのであった。
「この景色さえなければ、猛暑などなくてもいくらでも下界に降りるんだけどねぇ」
己の背に跨り、震えた声で向かう先を示す師にナタクは呆れつつも悪い気はしていなかった。
「ナタク、お願いだからあんまり揺らさないでおくれよ……怖い高い怖い高い……」
ナタクを服を握る手に、更に力が込められる。しかし、その言葉を待っていたかのように、ニィとナタクの口許に笑みが生まれた。
「……ナタク?っっ!」
次の一瞬でナタクは横になって飛んでいた体勢を、起き上がらせていた。当然、その背に跨っていた太乙には落ちる体勢なワケであって。
「ぎゃあぁぁぁ!! おち、おちるーーーー!!!」
とっさに太乙の腕がナタクの首に絡む。
「こらナタク! 悪戯はやめなさい!!」
「フン。人の背中に乗っておきながら言えたセリフか? 大体、あのでかい空飛ぶ宝貝でこれば早いだろう」
悪びれもなく移動を続けるナタクに、太乙は強くしがみつきながらこたえる。
「ああ、黄巾力士のことかい? だめだよ、ナタク。あれを使ってはお忍びにならないじゃないか」
落ちないようにしっかり腕をからませながらも、太乙はやけに力強く力説する。
「しかし……ナタク、意地が悪いよ。誰に似たんだか」
「さあな」
自分じゃないよね、私こんなに意地は悪くないし。などと思いつつ、子育ての方法を間違ったと、太乙は溜め息を漏らした。
文体がね、割りと古いから御蔵行きなのかな……
じゃれてるナタ乙楽しいです。
PR
最新記事
(12/27)
(12/02)
(11/21)
(10/02)
(06/20)