ひなさんの小説以下の小ネタを放置するところ ↑旧 ↓新
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※ ナタ乙 と 雷雲 がほんのり、しっかり香っている。
ある日の太乙と雲中子の井戸端会議。
ある日の太乙と雲中子の井戸端会議。
「弟子に嫁になれって言われたら、どうする?」
「はあ???」
もしもの話
いつもの休憩がてらの集まりで、突然湧いた謎の話題。雲中子にふっかけられた太乙は、思わず素頓狂な声を出す。
昔から変な奴だと知ってはいる。しかし、実のところ意図をちゃんと聞くと理解できたりするのだ。
「脈絡がないんだけど、どういう話題なんだい」
「もしもの話だよ」
「う、うーん、嫁ねぇ……。それがどういう定義を指すのかで、また変わりそうなものだけど?」
「人間界の一般的な夫婦をイメージしてくれたらいいよ」
人間界の一般的な夫婦と言えば、同じ家に暮らし、夫が働きに出て、夫人は家庭の事や身の回りの世話をし支える。体力的なこともあるが、日が沈むと一気に治安が悪くなる街が多いためだ。家柄が良くなると下働きの者を雇うようになってくるが、家の中の人事を取り仕切る夫人は意外と多いように思う。何より、心身の世話は夫人の役目であり、逆も然りだろう。
「一般的……そうだねぇ。とりあえず。今だってご飯も作るのも掃除するの含めて、ナタクの世話は全部私がやっているし、何もかわりないと思うんだけど」
「なるほど。嫁になるのはいいんだ」
「この場合は役割の呼び方がかわるだけだよ。師としてか親としてか嫁としてか、世話するのに違いはないし。どうせ何であったって私があの子を思う気持ちはかわらないし、子供を作れるわけじゃないんだから」
「でも、夜の営みはできるよね」
ずしっと心に重みがかかる。あえて言いたい、してどうする。親が子に手を出す等とは論外であるし、そんな事は矜持が許さない。と、なると逆か。逆の立場か……。思わず頭を抱えてしまう。
「夜の……営み……ね……。私も若くないし、そういう体力いりそうなのはちょっとご遠慮願いたいな。っていうかウチの子に限ってないない。それはない。天地がひっくり返ってもないよ」
「そこまで言い切るんだ」
「で、そういう君はどうなのさ。元々君が考えていたことなんだろう? 私に答えを求めないで欲しいね」
こういう突拍子もない質問をする雲中子は決まって何か別件で悩んでいる事が多い。悩むといっても他愛もない気まぐれな疑問だったりするのだが。
「いや、嫁に行くなら女体になった方がいいのかなって思って相談したんだけど。楽しそうな研究だし、どうかな」
やはり、碌でも無いところから疑問は始まっていた。正直、かなりどうでもいい。
「何それ……。まぁ、一発芸としてはいいんじゃない?」
「一発芸呼ばわりとは心外だねぇ」
それ以上を求めるなと言いたい。
「気持ち悪がられるだけなんじゃないかい? 上手く行くようには思えないんだけど」
「そう言う君も女体の方がいいんじゃないの?」
「あの子は女体なんかに興味ないよ。そもそも私の事が嫌いなんだから、性別換わろうが同じことさ」
性別が換わるだけで好かれるなら、こんなに苦労はしていない。まぁ性別を換えるというのも難しい話ではあるのだが。
「いや、だからだね。あの子、どう見てもマザコンだろう。女性の姿の方が攻撃されないし好かれるんじゃない? 親として認めてくれるかもしれないよ、って話」
「あっ! ……それだ!!」
ガタリと椅子から立ち上がるが、直ぐに我に返る事ができた。
「……って、一瞬でも思った自分が憎い」
ずるずると椅子へ座り直る太乙を、雲中子は憐れむような目で見つめる。
「今、一瞬本気の顔されて私も困ったよ」
「いや、でもそれだと何か負けたような気もするし。性格じゃなくて性別が問題だったと証明されたら自信なくしそう」
「君も大概、フクザツだねぇ」
「うん……嫁より師より、親として認めて欲しいかな。無条件で相手を心配する存在という意味では一緒なんだろうけども」
「よし、じゃあ私も付き合ってあげるかねぇ」
「弟子にイマイチ好かれてない師匠同士、恩に着るよ」
こうして、実りのない井戸端会議は今日も続く。
もうちょっとまともな話になるかなって思ったんですけど、改善されなさそうなので……
そっとこちらで供養します。
誰得なんだよこの話!!!
私しか得する人おらんやんけ!!!!
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